かつて野生だったイルカたちは生涯狭いプールに閉じ込められ、厳しい訓練と不当に利用される日々を過ごします。
このサイクルは私たちが水族館やイルカしょーに行かなければ終わらせることができます。
かつて野生だったイルカたちは生涯狭いプールに閉じ込められ、厳しい訓練と不当に利用される日々を過ごします。
このサイクルは私たちが水族館やイルカしょーに行かなければ終わらせることができます。
私たちはイルカと多くの共通点を持っています。緊密な社会集団の中で生活し、複雑な関係を持ち、様々なコミュニケーションの形態を利用し、文化を持っています。 文化とは、社会的な学習を通じて共同体内で共有される行動のことで、多くのクジラやイルカの種で認識されています。
その中でも最もよく知られているのは、ザトウクジラのオスの複雑で魅惑的な歌声かもしれません。特定の個体群にいるザトウクジラのオスは、事実上すべて同じ歌を歌います。数年ごとに、オスは鳴き声やうなり声のパターンを変えて歌を変え、その地域の他のオスがそれを覚えると、新しいパターンが徐々に広がっていきます。
イルカに関しては、世界各地でのイルカの行動やその違いについての観察から、文化的な行動の幅の広さが示唆されています。例えば、バンドウイルカは広大な範囲を持つ1つの種であり、その孤立した個体群は世界の様々な地域に生息しています。フロリダ州の一部では、地元のバンドウイルカは、泥水を円状に蹴り上げて魚の群れを捕らえる狩猟手段を利用します。
ブラジルにある街ラグナでは、漁師と地元のバンドウイルカが協力して魚を捕まえます。どちらも特定の種類の魚を狙っていることを認識しているようで、競い合うのではなく、協力し合います。地元のイルカが頭や尻尾を水に叩きつけると、近くの海岸にいるラグナの漁師たちが網を投げる合図となり、魚の群れを分断してイルカが個々の魚を捕まえやすくなるのです。
オーストラリアのシャーク湾では、地元のバンドウイルカの個体群には、海綿を餌を探す道具として使うなど、ユニークな狩猟行動が数多く観察されています。
シャチの中でも、文化の概念はさらに複雑です。シャチには少なくとも10種類のエコタイプ(環境型)が知られており、それぞれに生息範囲、食性、方言、文化があります。それぞれのエコタイプの中には、地域個体群が存在し、その中には一族や多くの場合、母系的な家族グループが存在します。
「レジデント」のエコタイプの中では、南方系のレジデント・シャチと北方系のレジデント・シャチに分かれています。北方系は、浅瀬に転がっている滑らかな小石に沿って体をこするために特定の浜辺を頻繁に訪れ、「マッサージする」独特の文化を持っています。その一方、南方系は、非常に活発で友好的な文化を持っているようです。2群のシャチが向かい合って並び、陽気に体を触れ合う「挨拶式」が行われる様子が観察されています(しかし南方系の主要な食料源であるチヌークサーモン〈マスノスケ〉が大きな脅威にさらされているため、最近ではそのような光景はほとんど見られなくなっています)。
2009年に、ハナゴンドウは、感情の処理や社会的相互作用に関係するスピンドルニューロンを持つことが確認された一握りの鯨類の一種です(このような特殊な脳細胞は、以前まで人間に特有のものだと考えられていましたが、現在では特定の類人猿、ゾウ、クジラ類で発見されています)。ハナゴンドウはどのような文化を持っているのでしょうか。また、他の鯨類の個体群にはどのような文化があるのでしょうか。他の鯨類ではまだ研究されていないことがたくさんあります。鯨類の知性、自己認識、海洋生態系における役割などの側面に加えて、文化も鯨類の保護を提唱する際に心に留めておくべき重要な考慮事項の一つです。
日本の和歌山県太地町のような地域では、地元のイルカの個体数が人間の活動(直接的な狩りや捕獲、漁業を通じた獲物の競い合い、網に絡まる事故、騒音公害や航路の出入りによる干渉)により多大なストレスに直面しており、そんなイルカの幸福と保全、文化を消滅させる危険性について深刻な懸念があります。
英語バージョン:The Cultures of Dolphins and Whales (DolphinProject.com)
参考文献: